3.Eudlo

手の指が筋肉痛に…。疲れを癒す絶景露天風呂

あ、でもこれはプールの方です。
あ、でもこれはプールの方です。

 

次は友人が関心をよせていたホストを訪ね、電車でさらに南下してユードロへ。友人によればこのご家庭は奥さんが日本人で、数年前に若くして亡くなったのだが、彼女は有名なパーマカルチャリストとして大変慕われていたのだそうだ。今はご主人のアーノーが3人の男の子を育てている。

 

車でぐんぐんと山を登り、木々の中を縫うように進んで辿り着く彼らの家。山の上というだけあって、ビュー・ポイントに指定されそうな絶景だ。

 

近くに生い茂る高低さまざまな木々たちから、はるか遠くに見える別の山や森まで、一面に広く続く緑の風景。それを自宅のウッド・デッキから悠々と眺めることができる。ここもまた、迷子になってしまいそうなほど深い森、そしてダムを持つ広大な敷地である。

 

家の周りには美しくデザインされた野菜のガーデン、絶景を楽しめるプール、露天風呂までもがある。空、森、風に触れる暮らしの豊かさを大切にした、美しい設計。

 

最初の数日間は、その広大な敷地へ分け入ってひたすらに雑草を抜き続けた。抜いても抜いても、道は続いている。果てしなき雑草との戦い。根っこの強いツル性の雑草をひたすらに抜き続けていたせいか、人生で初めて「指が筋肉痛になる」経験をする。この4ヵ月で、確実に手はごつくなった。

 

後半は外仕事もしつつ、簡単な針仕事もした。アーノーの帽子やピローケースを直したり、次男ジュジュが部活で使う短パンの破れた部分を直したり、三男ファビアンの小さな靴下を繕ったり。

 

アーノーはものすごく料理上手で、掃除や洗濯もするのだけれど、唯一裁縫だけはやらないのだそうだ。だから助かった、と喜んでくれた。特に何のスキルもなく平凡な私は、とりあえず小学生のとき家庭科の授業をまじめに受けていて本当によかった、日本の義務教育も捨てたもんじゃない、と感謝した。

 

長男で高校生のステファンは、ピアノにギターにと卓越した音楽の才能を持ち、かつボクシングのトレーニングも欠かさない、まさに文武両道の頼れるお兄ちゃん。さらには最近、琴も練習し始めたのだといって、休日にはリビングでポロンポロン、と奏でていた。琴もひけない純日本人の自分が情けない。こういう時に音楽に音楽で参加できるような、何か持ち運べる楽器ができたら、と思う。

 

ある日の夕方、私たちが夕食の準備をしていると、学校から帰ってきたステファンがリビングでさりげなくギターを弾き始めた。プロと聞きまがうほどの腕前。小さな三男ファビアンは、兄の奏でる音色にのってニコニコと楽しげに踊りだす。生の音楽が日々の暮らしに自然と溶け込んでいるこの感じ、憧れてしまう。

ユードロ出発の朝、見つけた花。
ユードロ出発の朝、見つけた花。